小代焼

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国指定伝統的工芸品 「小代焼」

小代焼は熊本県荒尾市を中心に3市2町(玉名郡南関町・玉名郡長洲町、熊本市、宇城市)で産地を形成し、現在、熊本県内に12の窯元があります。 平成15年3月17日に国指定伝統的工芸品の指定を受けました。

「小代焼」の歴史

寛永9年(1632年)細川忠利が豊前国から肥後国に転封となり、これに従った陶工源七(牝小路家初代)と八左衛門(葛城家初代)が焼物師を命じられ、小代焼を始めたといわれています。その後天保7年(1836年)山奉行の瀬上林右衛門が藩の指令を受け、産業振興策のため瀬上窯を築き、小代焼の技法が受け継がれ、さらに野田家、近重家へと継承されて今日に至っています。

「小代焼」の特徴

小代焼は、鉄分の多い小代粘土を使った素朴で力強い作風が特徴です。釉薬の調合割合、焼成温度の変化等により、青小代、黄小代、白小代、といわれる微妙な発色技法が使い分けられ、粗めの陶土に、茶褐色の鉄釉で覆い、その上に藁や笹の灰から採った白釉や黄色釉を、スポイトや柄杓を使って流し掛けする釉薬の深い美しさと自由奔放な流し掛けの模様は、器形と調和して素朴な中にもダイナミックな味わいがあります。小代焼は水簸した粘土をろくろ成形、たたら成形などの方法で成形したものを乾燥し、800℃前後で素焼します。さらに、藁灰、木灰を主成分とした釉薬を浸し掛け、打ち掛け流しなどの方法で釉掛けを行い、1,300℃の高温で焼き上げます。
【独特の模様を生みだす「釉掛け」】

【原土】

熊本県荒尾市の小岱山付近の粘土層から粘土を採取。鉄分や小石粒を多く含んだこの粘土は「小代粘土」と呼ばれ、特徴であるざらりとした肌合いは、この粘土から生まれます。

【水簸】

乾燥させた粘土を水と共に撹拌。ゴミや砂・石などを取り除き、泥水状になった粘土を沈殿させてます。沈殿した粘土は、適度な硬さになるまで天日で乾燥させます。

【ねかし】

粘土が適度な硬さになったところで、屋内で貯蔵。ねかせることによってバクテリアが増殖して、粘土の粘り気が強まり、細工しやすい状態になります。

【釉薬】

藁・笹・茅などの植物を原料とする灰と、雑木・樫・杉・松などの木を原料とする木灰、細かく砕いた長石などを調合して釉薬を作ります。その他に、鬼板と呼ばれる鉄を含んだ鉱石を、細かく砕いて配合する場合もあります。

【釉掛け】

小代焼では、木灰釉・藁灰釉・笹灰釉・茅灰釉・鉄釉が用いられます。釉薬の調合や、焼成時の温度や炎の状態によって、青小代・黄小代・白小代などの色が作り出されます。また、釉掛けの技法には、「浸し掛け」「杓掛け」「打ち掛け流し」「吹き掛け」「塗り掛け」「イッチン掛け」「蛇の目」「二重掛け」などがあります。